・ 掲載開始日 2010年4月1日
・ 最終更新日 2010年5月18日
バンダイから発売された「大人の超合金」シリーズ第一弾「アポロ11号&サターンV型ロケット」のレビューです。
梱包
設置
各ステージ詳細
ロケットの魅力
アポロ計画に関するオススメ作品
○ 梱包
高級感ある梱包。
○ 設置
サターンVの雄姿をいつも間近に。
全高は76cm!
同スケールの月面ジオラマも付いています。
飛行士と比較すると、サターンVの巨大さがよく分かります。
○ 各ステージ詳細
各ステージを分割してディスプレイすることもできます。
●第一段 S-IC
F-1エンジン。
「SPACE RACE 宇宙へ 〜冷戦と二人の天才〜」で、開発の苦労が描かれていて印象的でした。
配管までしっかりと作り込まれています。
凹凸のクオリティも高いです。
オレンジ色の燃料タンクが見えます。
●接続リング
第一段と第二段を接続するリングです。
これが切り離される映像は感動的です。
●第二段 S-II
こちらも相当な作り込み。
●第三段 S-IVB
月軌道投入の噴射を行う部分です。
細かなモールドまでしっかりと再現。
S-IVBの上部は月着陸船の格納庫になっていて、4枚のパネルを開けて実際に月着陸船を格納できます。
●司令船&機械船
月への飛行から帰還までを担うアポロ宇宙船です。
アポロ13号では機械船の一部が爆発してたいへんなことになりました。
●緊急脱出用ロケット LES
幸い、一度も使われることがありませんでした。
トラスもしっかり作り込まれています。
○ ロケットの魅力
中学生の当時、宇宙開発で知っていることと言えばスペースシャトルの存在くらいで、月面着陸のことはほとんど知りませんでした。
しかし、当時に公開された映画「アポロ13」を見たことをきっかけに、宇宙開発に興味を持つようになりました。
サターンVのことを知ったのもそのときでしたが、このときはまだロケットへの興味はさほど強くありませんでした。

ちょうど同じ頃、何気なくテレビのチャンネルを回していると、核爆発の映像が飛び込んできました。
NHKスペシャル「映像の世紀第8集 恐怖の中の平和」の、ソ連初の水爆実験のシーンでした。
興味を惹かれて見たこの番組によって、アポロ計画では人類を月へと送る夢の乗り物だったロケットが、
核兵器を乗せた大陸間弾道ミサイルとしても使えるということ、死をもたらす恐怖の存在としての一面も持っていることを知りました。
左の画像はサターンV。
アポロ11号を乗せ、初の月面着陸へ導きます。
右の画像は大陸間弾道ミサイル「ピースキーパー」。
既に退役していますが、10個の核弾頭を搭載可能で、各弾頭を別々の目標に命中させることができました。
抑止力を謳った名称でしょうけど、じつに自己欺瞞的で皮肉に思わざるを得ません。

サターンVの打ち上げはじつに感動的で、人類が宇宙へと躍進する一歩として、その轟音は新たな生命の産声のように思えました。
それに対し、弾道ミサイルとして破滅をもたらす黒い躯体が飛翔時にあげる轟音は、まるで悪魔の咆哮のようです。
この、ロケットの持つ二面性に魅了されたのです。

思えば、この二面性というのは、結局のところ人間の精神が反映されたものであり、困難な夢を実現する知性、
相手を恐れるあまり、より強大な力を欲しようとする心、といったものが具現化した象徴がロケットであるという見方もできると思います。
映画「天使と悪魔」の「科学と宗教」という曲はとても感動的な音楽で、サターンVの打ち上げの映像とよく合います。
奇しくもロケットの二面性を思わせるような作品タイトルです。
(しかも、この映画の監督、主演は「アポロ13」と同じです)
この曲を聞きながら、大人の超合金サターンVを眺めるのも一興です。
○ アポロ計画に関するオススメ作品
●アポロ13

アポロ13号の奇跡の生還を描いた映画。
CGで作成されたサターンVの打ち上げシーンは、当時話題になりました。
中学生のとき、宇宙開発に興味を持つきっかけとなった記念すべき作品です。
●SPACE RACE 宇宙へ 〜冷戦と二人の天才〜

サターンVの開発を主導したフォン・ブラウンと、そのライバル、
ソ連のセルゲイ・コロリョフの軌跡を描いたドラマです。
セットや演出など、とてもハイクオリティ。
●フロム・ジ・アース 人類、月に立つ

全12話で構成されるアポロ計画のドラマ。
人間ドラマに重きを置いていますが、セットのリアリティもかなりのもの。
●ザ・ムーン

存命しているアポロの宇宙飛行士たちのインタビューを交えながら
当時の映像を見せるドキュメンタリー映像作品。
サターンVの打ち上げはたっぷりと時間をかけて見せてくれます。
感動的な音楽もよいです。
●グレーテスト・アドベンチャー 未知なる月への挑戦

フォン・ブラウンの映像が多めなドキュメンタリー作品。
30年も前の作品で、月面を歩いた宇宙飛行士であるアラン・シェパードや
ジム・アーウィンの生前のインタビューも収録されている貴重な作品。
●アポロ11 20世紀の見た夢

アポロ11号が月面着陸を成し遂げるまでの軌跡をまとめたドキュメンタリー作品。
アポロ11号のクルーとしてはバズ・オルドリンのみが出演しています。
当時の社会状況の説明や管制官のインタビューなどもあり、
アポロ計画を取り巻いた環境を知ることができます。
●宇宙へ。 挑戦者たちの栄光と挫折

マーキュリー計画からスペースシャトルまで、NASAの歴史のダイジェスト的な
内容になっています。
NASAの保管庫で眠っていた膨大な映像資料を掘り起こしたそうで、
他ではあまり見ない映像も収録されています。
●WHEN WE LEFT EARTH THE NASA MISSIONS

NASAのこれまでのミッションの映像を、ブルーレイディスク4枚でたっぷり収録。
フィルムの質感までしっかりと収めています。
ジェミニ7号から弾道ミサイルの飛翔を捉えた映像は非常に珍しく貴重です。
さらに貴重なのは、近年のニール・アームストロングのインタビューです。
滅多に人前に出ることのなくなった彼がこのようなメディアに出るのは非常に珍しいです。
ブルーレイディスクで良かったと心底思えます。
●月をめざした二人の科学者

フォン・ブラウンとセルゲイ・コロリョフの話。
月着陸方式決定の紆余曲折等、細かに書かれています。
●NASAを築いた人と技術 巨大システム開発の技術文化

月着陸の偉業がなされた背景にはどのような組織、人があったのか。
それがよく分かる一冊。
サターンVを成功させるためにフォン・ブラウンが構築した組織体制、
人材配置からは、自分たちの信じるやり方に徹しようとする姿勢と、
各人のモチベーションを最大限に高めようとする意識が窺えます。
フォン・ブラウンはマネジメントにも優れていたのです。
●栄光なき天才たち8 宇宙を夢みた男たち

宇宙開発の発展を語るに欠かせない偉人たちの漫画です。
ツィオルコフスキーの構想から100年を待たずして月まで到達した激動の時代を
分かり易く劇的に描いています。
フォン・ブラウンは主人公的な位置付けで描かれていて、
彼のカリスマ性をうまく表現しています。
●宇宙からの帰還

宇宙飛行による心理的影響を考察した書籍。
とりわけ、月面歩行という超常的な体験が及ぼす心理的影響は大きく、
帰還後の飛行士の言動は注目すべきものが多いです。
●ファーストマン

月面に最初の一歩を刻んだニール・アームストロングの人生を記した書籍。
これ以上ないというくらい詳細に書かれています。
月への第一歩を巡るいざこざや月面での彼の写真の少なさなど、
気になる事件の真相にも触れています。
また、冷静沈着で聡明な印象とは裏腹に、子どものように無邪気なところや、
人間くささを感じさせる弱さにも心打たれます。
映画化されるらしいので期待です。
●ロケットと宇宙開発

宇宙開発の黎明期から未来まで、画像をふんだんに交えて分かり易く説明しています。
サターンVの図解、ロケットの原理、宇宙開発の歴史や重要人物等々、盛りだくさん。
これぞ宇宙開発の教科書です。
●アポロ11号 月面着陸から現代へ

アポロ計画関連の多数の写真が印象的な文章とともに掲載されています。
他ではあまり見られない写真も多いです。
●FULL MOON

アポロ計画で撮られた月面写真集。
幻想的の一言。
暗闇の空を翔るサターンVの写真も感動的。
Top